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熱塩循環の代表格である海洋大循環系の深層水であれば、大西洋で沈み込んでから太平洋で湧きあがるまでの期間が1,500〜2,000年程度と言われていますので、「当たらずとも遠からず」といったところです。
しかし、例えば室戸市で汲み上げられている「深層水」は、海洋大循環とは別の北太平洋亜熱帯循環(Subtropical
North Pacific Circulation)と呼ばれる熱塩循環によって形成された北太平洋中層水(NPIW)という海水で、とても2000前の水であるとは言えません。
オホーツク海で作られた低温・底塩分の海水が親潮に乗って三陸沖を南下し、南から流れてきた黒潮とぶつかって鹿島灘の沖で沈みこんで300〜700
m付近の中層を東へ向かって流れた後、いくつかの海水塊(コア)に分かれながら時計回りに反転して、再び日本の南部太平洋沿岸へと戻ってきます。
室戸では四国にぶつかって湧昇してきた北太平洋中層水を汲み上げているということです。鹿島灘沖で沈んでから室戸沖にまで帰ってくるまでの周期は10〜50年程度であると言われており、海洋大循環に比べればずいぶん短いスケールの循環であると言えます。
また、富山県水産試験場で汲み上げられている深層水も海洋大循環起源の深層水ではなく、日本海固有水(Japan
Sea Proper Water, JSPW)と呼ばれる全く別系統の海水です。
日本海固有水の形成過程に関しては詳しいところはわかっていないのですが、水深1000 m以下の深層水は過去50年くらい形成されておらず、水深1000
m以上の中層水が冬季の対流によってウラジオストック沖で形成されているといった報告はなされています。
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