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進む深層水研究開発  医療、食品に有効利用

 【糸満】深海に蓄積された深層水を資源として活用する取り組みが糸満市の喜屋武岬南方の沖合三十キロを舞台に始まっている。県海洋深層水開発協同組合(宮城景正代表理事、浦添市)が今年二月二十日に洋上設置型海洋深層水取水試験装置「海ヤカラ一号」を設置。海底六百メートルと一千四百メートルから海水を取水して医療、食品、水産振興などの多面的な研究開発を進めている。成分とその影響など依然未知の部分もあるが、医療面では一定の成果が報告されており、「世界でも最先端をゆく」研究開発が注目を集めている。
 深層水の研究は高知、富山両県で実施されているほか、県内では久米島で行われている。いずれも三百メートルから六百メートルの深層水を取水しているが、糸満の喜屋武沖合の研究はそれより深い一千四百メートル。同協同組合によれば、その水は「およそ一千年前の水の蓄積」とされ「まったく汚染がない。地球に残された唯一の研究分野」と表現されている。喜屋武沖合は、南西諸島海溝に近く、一千メートル以上の取水が可能な海域として選定された。
 同協同組合の代表理事で、浦添総合病院副院長の宮城さんは、三年前から医療面での深層水の研究に着手。「さらっとしていて、しょっぱいが、表層水と違ってぬめりがなく、清浄性がある。深海の気圧も加わり、水の構成が細かく、腕などに塗ると、皮膚がすべすべしてくる」とその特徴を話す。
 アトピー性皮膚炎の治療に使用したところ、一定の成果も得られたという。深層水を肌へパッティングする方法だが、「深層水が皮膚細胞の活性化を促し、人間本来の持つ自然治癒力を高めているのでは」と推測している。改善例は全体の六〇%から七〇%に及ぶという。
 県海洋深層水開発協同組合は、浦添総合病院、オリオンビール、琉球セメント、翔南製糖、忠孝酒造、新糸満造船と、県内の企業六社で構成。各企業がそれぞれの分野で研究開発を進めている。
 例えば(1)ミネラル豊富な深層水塩をつくる(2)塩分を除いて淡水化、飲料水用に開発(3)深海であるため、冷水域で生息する付加価値の高い魚類を養殖するなどの水産振興(4)野菜、熱帯果樹などの栽培、畜産への利用―などの面で活用策が検討されている。
 宮城代表理事は「まず人類のために役立てるのが目的であり、 世界でも最先端で、沖縄発の事業展開の可能性を探りたい。
自動的な取水装置の完成など、今後はハード面から微生物の研究などソフト面に傾斜し、開発のシステム化を図っていきたい」と、その可能性に期待を込めている。

糸満支局・斎藤学


 
     
 

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